研究論文

知識の公開について

 政策科学は人間の価値をとりあつかう学問である。
 さまざまな価値をもった人間、それを価値ありと判断する人間、そうした人間と人間とが社会的相互作用をとおしてつくり出すさまざまな文化、価値を効率よく生み出すための社会制度、生み出された価値を共有し分配するプロセス、これらはすべて政策科学の研究領域に属している。
 100年前、この領域は経済学の独壇場だった。1000年前、それは僧侶や神官によって担われていた。10000年前、おそらくそれは祈祷と呪術の世界だったろう。これら専門的政策科学者の先行形態をシンボルスペシアリストという。
 どの時代どの地域のシンボルスペシアリストも、世間の人々の理解とはうらはらに、自ら施した神聖装飾によってではなく、彼らが政策決定者に対し与える献策や助言の実証的根拠のもつ、予測能力の高さによってその職責をはたしていた。そうでなければ、彼らの地位をねらうライバルたちに、そう簡単に勝てなかったはずだからである。
 日の出・日の入りの位置と時間は正しい苗付けのタイミングを知らせる。この知識は、呪い師にとっても自然科学者にとっても、同じレベルの実証性をもっている。実証的な知識に基礎をおいて政策を提言するという意味では、21世紀の政策科学者も成功したマジナイ師達と大差はない。決定的に違う点がもしあるとすれば、それは立論の根拠を秘匿することなく、常に知識を公開するという原則の採用にある。
 政策科学研究レポートシリーズは、中央大学総合政策学部小林秀徳研究室が生産するすべての政策関連情報の、実証的根拠を広く開示するための媒体である。そこにもられたコンテンツのいかなる部分も、真剣に人間の価値の問題ととりくむすべての人々が自由に引用して利用することができる。本書面をもって、すべての人々に自由なコピーを許諾するものである。

2000.5 小林秀徳



政策科学研究レポート
通番タイトル
#67 『設備投資行動に見る日本経済の構造変化について』(2010/07/23)
#66 『Models of inquiry in the policy sciences:
an application to Japanese economy』(2010/02/22)
#65 『SDマクロ経済モデルの展開』(2009/09)
#64 『経済危機克服のためのマクロ・マネジメント・モデリング』(2009/05/23)
#63 『STとSD』(2008/10/21)
#62 『マクロエコノミクス』(2008/10/14)
#61 『モデリングとシミュレーション』(2008/10/07)
#60 『政策科学・SD・社会教育』(2008/09/06)
#59 『反少子化戦略に関するSD人口モデルの意義と政策科学への貢献』(2008/05/31)
#58 『期間分析と連続分析を繋ぐ環としてのSDモデル方法論』(2008/04/01)
#57 『内部統制モデルのSD展開』(2007/07)
#56 『競争と協働に関するモデル・アナリシスの試み』(2006/06)
#55 『21世紀日本経済の展望』(2005/07)
#54 『低成長下における政策研究の及び政策科学における
システムダイナミックスの意義』(2001/12/01)
#53 『指数遅れの解明』(2000/08/25)
#52 『政策科学序説(第一章)』(2000/07/11)
#51 『政策科学による行政の評価システム』(2000/05/11)
#50 『問題解決としての政策決定』(2000/05/01)
#49 『政策問題の構造化』(2000/05/01)
#48 『政策科学の現状と展望』(2000/05/01)
#47 『政策科学方法論の諸問題』(2000/05/01)
#46 『全国都道府県警の値段』(2000/05/01)
#40 『政策科学への招待』(1993/05/01)
#31 『システムダイナミクス研究の今日的課題』(1993)
#28 『生命保険の新商品開発について』(1991)
#27 『政策提言としての政策分析』(1990)
#25 『生命保険経営の動学分析について』(1989)
#24 『DYNAMOPV:実験結果報告』(1988)
#22 『続 生命保険の動態について(1)』(1988)
#21 『生命保険の動態について』(1987)
#20 『政策科学方法論(三)』(1986)
#19 『生命保険の需要について』(1986)
#18 『政策科学の実現戦略と政策分析支援システム』(1985)
#16b 『政策科学方法論(二)』(1985)
#16a 『政策科学方法論(一)』(1985)
#13b 『CBAモデルと下部構造投資の評価について(二)』(1981)
#13a 『CBAモデルと下部構造投資の評価について(一)』(1981)
#12b 『続 耐久消費財の寿命について(二)』(1980)
#12a 『続 耐久消費財の寿命について(一)』(1980)
#11 『耐久消費財の寿命について』(1980)
#10 『費用便益分析と予算の意思決定』(1979)
#09 『予算過程の分析U』(1979)
#08 『政策情報システムと市民参加』(1979)
#06 『予算過程の分析―合理的意思決定と概算査定について―』(1978)
#04 『予算過程の分析』(1978)
#03 『政策科学と政策分析』(1977)
#02 『純便益によるプロジェクト評価法についてのノート』(1976)